[コラム] MMORPG ジャンル、没落か調整か
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2013年8月24日

[コラム] MMORPG ジャンル、没落か調整か[ 情報・ニュース等 ]  

●危機の MMORPG ジャンル、本当に没落するか?

PC オンラインゲームの帝王として君臨した MMORPG ジャンルが、
連日不振な姿を見せている。
「Rift」,「スターウォーズ」 等、海外大作 MMORPG が興行失敗を
続けており、MMORPG の先頭走者 「World of Warcraft」 も、
有料加入者数が持続的な下降曲線を描いている。

Gameabout





MMO Data が算出した主要 MMORPG の実際定額制購読者数。
「World of Warcraft」 を含む大部分が下降曲線を描いている。


一時 MMORPG の宗主国と呼ばれた韓国も同じだ。
最近、数年間 「大作」 と数えられた MMORPG は、たった一つの例外も無しに、
市場で不振な姿を見せている。
2011年、新年に勢いよく出発したブルーホールスタジオの 「TERA」 は、
初盤興行後、素早い下落勢を見せて、最近は部分有料化で体面を立て直している状態だ。

以後に登場した大作 MMORPG も、状況は似ている。
おびただしい話題を催した NCsoft の 「Blade&Soul」 は、2013年 2分期の売上において、
1998年に登場した 「リネージュ1」 が同期間納めた売上の 1/5 に止まる屈辱を経験した。
XLGAMES が 2013年に野心を燃やして出した 「ArcheAge」 も、
やはり市場であまり大きな破壊力を見せる事が出来なかった状態だ。


ゲーム会社も、MMORPG から後ろ向きになる雰囲気だ。
「真のゲーム会社なら、大作 MMORPG 一つ位は取り揃えなければならない」 と言った、
当たり前の常識は既に通じない。

2012年の 「Anipang」 熱風以後、多くの会社が先を争って、モバイルゲームに体制を切り替えた。
ネットマーブルが 2013年に入ってから、モバイルに 「オールイン」 と呼ばれて良い位、
集中的な投資をしている事も、その例だ。

MMORPG 専門ゲーム企業として有名な NCsoft も、例外では無い。
NCsoft は去る 2012年初夏、構造調整でモバイル事業部門を整理した。
成果が無いという理由だからだ。
しかし、わずか 5ヶ月後の 2012年 11月、「モバイルゲーム元年」 という言葉まで用いて、
再度モバイル市場攻略を宣言した。
現在では、「2013年下半期内に 7 ~ 8種のモバイルゲームをお披露目する」 と発表している。


韓国の場合、現在 NCsoft の 「ワイルドスター」、ネオウィズゲームズの 「ブレス」,
ウィメイドの 「イカルス」,パールアビスの 「黒い砂漠(仮)」 等が、期待作 MMORPG として、
指折り数えられているが、ゲーマーたちと市場の関心は、確実に以前の様子は無い。
僅か数年で起こった劇的な変化だ。

猫も杓子もするまでも無く、MMORPG に向かって駆けた時代は終わり、
もう MMORPG は皆の憚るジャンルになっている。何故か?



●MMORPG、開発費を数百億使うハラハラな網渡り

ゲーム会社の立場で話すと、もう MMORPG というジャンルは、
会社の運命を掛ける位おびただしい投資をしなければならないが、
結果を確信する事が出来ない、危険千万な冒険として思われている。

MMORPG ジャンルの質が全体的に上向き平準化されたせいで、
似たり寄ったりな MMORPG を開発しては、市場の注目を引く事さえ難しくなったからだ。

これからオンラインゲーム市場で 「大作」 MMORPG を成功させようとするならば、
無条件最高の品質を狙わなければならないし、これは開発コスト上昇と長い開発期間に繋がる。
最近登場したトリプル A級 MMORPG の開発コストを良く見てみると、
「TERA」 400億,「ArcheAge」 400億,「Blade&Soul」 500億,「Rift」 550億,
「スターウォーズ」 1,000億 水準だ。

更に、ゲーム一つ当たり平均 5年程度の開発期間を経るという点も、注目しなければならない。
1年に 100億 ~ 200億を、収益が出るかどうかも分からないゲーム開発一つに投資する、
そんな事が出来る会社で無いなら、意欲も出す事が出来ないジャンルになってしまったのだ。


例え、こんな壁を越えて、初盤興行に成功したと言っても問題だ。
近年益々ゲーマーたちのコンテンツ消耗速度は早くなっているし、
おびただしいコンテンツ消耗速度に付いて行く事が出来ない瞬間、該当の MMORPG は死ぬ。

昨今では当日アップデートされたボスが、二日も経たずに撃破される事は、
もう MMORPG では当たり前の事だ。
ピラミッドの頂点にいるコアゲーマーは勿論、中間層にいるゲーマーたちも、
コミュニティと攻略等によって、おびただしい速度でコンテンツを消耗する。


MMORPG は莫大な開発コストを掛かる為、市場に出した後もそれで終わりでは無い。
サーバー管理やコンテンツアップデートにより、維持費もおびただしい費用が消耗される。
こんな特性は、ゲーム会社にもっと大きな負担として付与される。
コンテンツアップデートを準備する余力があると言っても、
誤った時期決定により、全てのものをダメにする事もありがちだ。
これは大作 MMORPG でも例外では無い。


数年間数百億を投資して作ったトリプル A級 MMORPG が、市場で成功するという保障も無い。
初盤に成功したと言っても、莫大な維持費用を使い、持続的な投資をしなければならない。

ゲーム会社たちが、MMORPG を憚るしかない理由だ。

こんな風に製作したトリプル A級 MMORPG が興行に失敗したら、
単純な損失だけで終わるのでは無く、会社全体まで揺るがす、
おびただしい危険負担を抱く様になる。

例えば、「Rift」 の開発会社である Trion Worlds は、Rift の興行失敗により、
核心開発チームの 1/3 を解雇しなければならなかった。
主要経営陣が会社を去り、開発スタジオまで閉鎖する痛みを経験した。

「スターウォーズ」 も不振な成績を収めたせいで、
開発チームの大量が解雇、及び、親会社 EA の CEO も辞任する結果にまで及んだ。



●人生は忙しいのに MMORPG に投資しなければならない時間は余りにも多い

MMORPG というジャンルがゲーマーを誘惑する魅力も、大幅に少なくなった。
一時、MMORPGは 「果てしないコンテンツ」 という特徴を立てて、オンラインゲーム市場を支配した。
幾ら時間が掛かっても終わらない MMORPG のコンテンツのおかげで、
ゲーマーたちは長い時間、ゲームに時間を投資する事が出来たのだ。

しかし、時代が変わった。
もうゲーマーたちは、ゲームで繰り返し的な行動をして、おびただしい時間を消費する事を有り難らない。


最近、ゲーム市場で旋風を巻き起こしている 「League of Legends」 とモバイルゲームの興行は、
こんなゲーマーたちの変化を端的に見せてくれる。

一キャラクターに集中して、全く同じ 「土方」 を一日数時間ずつ投資しなければならない、
そんな MMORPG よりも、多様なキャラクターを利用して、プレイしたい時に一時楽しみ、
他のキャラクターを使って、他の時間楽しむ事が出来る、そんな AOS ジャンルに、
最も多いゲーマーたちが沸き返っている。
何時でもプレイしたい時に取り出して、直ぐに止める事が出来る、
そんなモバイルゲームも、同じく高い人気を集めている。


莫大な時間が必要なゲームという点は、ゲーマーたちが MMORPG を憚る事は勿論、
後発走者 MMORPG が成功しにくい事にも、大きな影響を与えている。
とある MMORPG に時間を投資し始めれば、他のゲームに移住する事は容易くない。
他の MMORPG を楽しんでいたゲーマーを奪う為に、
ゲーム会社たちはもっと多くの努力を傾けなければならない。

例えば、「World of Warcraft 」 に数年を投資したゲーマーが、
今日 「スターウォーズ」 が新しく出たと言っても、簡単には移住したりしない。
自分が土方をして積んだレベルと、アイテムを無駄に出来ないからだ。

ゲームで積んだ人間関係も、そのゲームを諦めにくくなる原因だ。
ゲームから心は去ったが、ゲームで知り合った仲間たちの為、
古いゲームに残っているゲーマーも、数知れぬ程多く存在している。


この様な点の為、最初から MMORPG に莫大な時間を注ぐ事を憚るゲーマーが、
徐々に増えている。
もう MMORPG で無いとしても、楽しむに値する質の良いオンラインゲームは存在するし、
MMORPG がオンラインゲームの頂点という言葉も死語だ。
MMORPG では無くても、他のゲームで幾らでも楽しさを得る事が出来る。
「League of Legends」 然り、「サドンアタック」 然り、「FIFAオンライン3」 然り。
(上にある 3つのゲームは、現在の韓国ネットカフェランキング上位ゲーム)


MMORPG が益々もっとハードコアになったせいで、
一日に 1 ~ 2時間程度楽しむだけでは、他のゲーマーに付いて行けないという挫折感も、
MMORPG が廃れる一分け前をしている。
人生は忙しいのに、MMORPG を楽しんで満足感を得ようとすれば、
おびただしい努力をゲームに注がなければならない。

全く同じモンスターを、全く同じな方法で倒さなければならない、
MMORPG にそんな努力を浴びせたがるゲーマーは、徐々に減少している。


もう MMORPG の新しい突破口は中国だ。「Blade&Soul」 を発表している NCsoft。



●それでは、MMORPG は亡びたのか?

現在、MMORPG ジャンル自体が以前の賑わいを取り戻せていない事は事実だ。
先立って何回も言及した様に、最近はおびただしい開発コストを掛かるし、
トリプル A級 MMORPG を標榜して出たゲームでも、「大当たり」 という評価を受けるだけ、
成功する事例も珍しい。
投資額さえ回収する事が出来ず、むしろ会社が傾いた事例もある程だ。


猫も杓子もトリプル A級 MMORPG に挑戦して、大当たりを噴き出した時代は確実に終わった。
毎年大型 MMORPG を先に立たせて、ゲーム市場で話題になったゲーム会社らも、
現在はモバイルゲームとカジュアルゲームに、もっと多くの努力を傾けている。
新作 MMORPG 開発消息に対するゲーマーたちの呼応度も、確実に以前の様相は無い。


しかし、MMORPG が終わったと結論付けるには、少し早い様だ。

中国や東南アジア等、海外の新興市場は MMORPG の人気は相変わらず高い。
一例で、NCsoft の 「Blade&Soul」 は、長い間 中国内で期待ゲーム順位 1位を占めていた。

また、中国サービスクローズドベータテスト参加権を有料(!)で販売したにも関わらず、
サーバーが足りない大気熱が生ずる程であった。
中国内でのトリプル A級 MMORPG は、まだまだ熱気があるという証拠だ。


先立って指摘した様に、既に無鉄砲な大規模資本と人力、時間を投資して、
トリプル A級 MMORPG に挑戦する会社はもう少ない。
それでも、MMORPG で突破口へとチャレンジする努力は途絶えていない。

商用化モデルも、MMORPG の象徴の様に思われた "定額制" から "部分有料化" へと変化したし、
型に嵌めていたゲーム方式に変化を与えようとする試みも、以前より多くなっている。


2012年に発売した NCsoft の 「GuildWars 2」 は、
パッケージ購入時は一生プレイ無料という破格的な料金政策と、
武器によって変わるスキルシステム、
伝統的なクエスト方式を破壊した独特のゲーム方式で、大きな注目を集めた。

Gamescom 2010 今年のゲーム,TIME 紙選定 2012 最高のゲーム 1位,
Gamespot 2012年最高の RPG 部門選定等、多様な賞を受賞したりした。

ゲーマーたちの反応も良かった。
良く作られた MMORPG は、まだ十分な可能性を持っている事を伺う事が出来る。


GuildWars 2 ブースに集中した中国ゲーマーたち


無条件 「大作」 のみを固執せず、適当な MMORPG で安定収入を狙うゲーム会社も多い。
こんな傾向は、MMORPG に対する需要が高く、ゲーム開発速度が益々早くなっている中国で目立つ。
去る 2年間、中国産 MMORPG の海外進出は大きく増加している。
MMORPG の国と呼ばれた韓国でも、中国産 MMORPG は沢山進出している状態だ。


MMORPG の現状況は、"没落" では無く、"調整" だ。
誰もが MMORPG に沸き返った時代は終わり、もっと多様なゲームが、
オンラインゲーム市場で各々の席を取っている状況だ。
当然、以前より MMORPG は不振なのは事実だが、かと言って 「亡びた」 と言うには早い。

相変わらず、MMORPG に残っているゲーマーも多い。
「World of Warcraft」 には、まだ 600万人以上の定額制購読者が残っているし、
最近 「リネージュ1」 の引続いた売上記録更新も、覆して言えば、
MMORPG に対する需要自体はまだ残っている事を見せつけた事例だ。

今までよりも派手で、今までよりも複雑になった MMORPG よりも、
シンプルな MMORPG を願うゲーマーが多くなったという事だろう。



もう MMORPG に、ばく大な資本を投資すれば、当然の様に成功した時代は終わった。
無条件革新的で、複雑なシステムを入れれば良い結果を生んだ時代も終わった。

現在は、徹底的な市場調査と、ゲーマーがどんな MMORPG を望むのか、
それに対する集中的な研究が必要な時点だ。

MMORPG が調整で終わるか、本当に "没落" してしまうのか、全てはこれに掛かっている。

投稿者 (む) : 2013年8月24日 03:48


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コメント


1 :Anonymous(匿名による投稿): 2013年8月24日 10:05 ID: kzgg7WoQ [RES]

昨今のMMOはユーザー間の不満トラブルを排除した結果
何時でも短時間でも快適に遊べるゲームになった

そんなゲームするなら何時でも何処でもすぐ立ち上げられるソーシャルゲーで遊びますよね


2 :Anonymous(匿名による投稿): 2013年8月24日 10:27 ID: 6X6BGpmI [RES]

かといって廃ユーザー優遇する仕様なんかにしたら余計客逃げていくでしょ
単なる時間的拘束やユーザー間が結びつかないと無理な難易度にしてしまったことが原因だろう
いつやめれるか区切りが曖昧なせいで大幅に余裕もたせないとプレイしにくい
例えば一つのIDに行けばすんなり終わればいいもののその2倍時間がかかることもある
これを解消しようとすれば二つ目のユーザー間の結びつきが関わってきてゲーム内においても人間関係が強要される
難易度の高いものに挑もうとしても同様である
気軽に遊べないんだよ
さらにMMORPGということで効率を求めるあまりギクシャクしがち
これじゃ人増えていくわけないよね
個人的にFPSのクランメンバーと遊んでるのとMMOでギルドメンバーと遊んでるのとじゃ全く違うものだと感じたな


3 :Anonymous(匿名による投稿): 2013年8月24日 17:51 ID: d.DCkx/Y [RES]

結局、どのMMORPGも日本のRPG全盛期と同じように競合相手が増え過ぎて大手会社による開発費や画質向上に向かい顧客を奪うために短時間での成長を謳い育成自体に魅力が無くなりあっという間に廃れる。

そんな繰り返しじゃ新作出たって人なんかそう簡単には移動しないから、このまましばらくは衰退の方向に向かっていくんじゃないかなぁ


4 :Anonymous(匿名による投稿): 2013年8月26日 03:38 ID: UUqz69AM [RES]

日本にWOW、GW2がきてないから何とも言えないが
現状でもMMOに興味を寄せるユーザーは沢山いるけど、どのタイトルも何か物足りない
過去の感動を追いかけてるだけの古いジャンルになってしまったのかもね
ソシャゲーが衰退した次にはどんなゲームジャンルが流行るんだろう


5 :Anonymous(匿名による投稿): 2013年8月26日 05:36 ID: JByB6uB. [RES]

リアルFPSに決まってんだろ。実弾使用のな!


6 :Anonymous(匿名による投稿): 2013年8月27日 11:02 ID: NbvyjDoU [RES]

BS来るまで艦これだなー


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